解決
対立の解決は、出来事の時系列を整理し、対立に至った根本原因を特定し、潜在する問題に対処するために何ができるかに集中することで、容易になる場合があります。
職場における対立が真に解決されるのは、その対立の根底にある原因が特定され、是正されたときのみです。これにより組織は失敗から学び、より生産的で調和の取れた職場環境へと前進することが可能になります。
例えば、食洗機から食器を取り出さないことが絶えず対立の原因になっている場合、問題の本質は周囲への配慮の欠如ではなく、食器や調理器具の収納スペース不足にある可能性があります。表層的な症状だけを見て解決を図ろうとすれば、「もっと配慮してください」と要求するにとどまるでしょう。しかし対立の根源に対処するなら、戸棚や引き出しを整理し、食器や器具を収納する場所を確保するという解決策が導き出されます。
対立を引き起こした根本的な問題に迫るには、分析手法の活用が有効です。数ある手法のなかでも、職場の環境で対立を解決する上で特に役立つのが、「事後検証(アフターアクションレビュー)」、「5回の『なぜ』による根本原因分析(なぜなぜ分析)」、そして「ストア派的推論」です。
事後検証は軍事に端を発し、非難を一切排除した客観的な出来事の時系列を構築するために用いられます。
5回の「なぜ」による根本原因分析は製造業に起源を持ち、「なぜ?」という問いを少なくとも5回繰り返すことで、問題の根本原因が突き止められるという知見に基づいています。
古代ギリシャに起源を持つストア派的推論は、自らコントロールできない事象とコントロール可能な事象を峻別し、後者にリソースを集中させる手法です。
これらの手法は感情的な反応を抑制し、対立に関わるすべての当事者が、最適な解決法に向けて論理的かつ合理的に思考することを可能にします。
これら3つの手法を組み合わせて対立の解決に至る具体例として、あなたが同僚2名の対立を仲裁し、双方が冷静さを取り戻して相手の立場を十分に理解した段階まで導いた場面を想定してみましょう。この同僚をサムとジェシーとします。仲裁セッションの要約として、あなたは次のように切り出します。「これで双方が互いの認識を共有できたと思います。サム、あなたはジェシーが故意に遅延を生じさせていると考えており、ジェシー、あなたはサムが意図的に業務を支援してくれないと考えています。この認識で相違ありませんか?」
各自が自身の視点を正確に反映していると認めたら、次に事後検証を実施します。「この問題が直近で発生した時点に立ち返り、出来事のタイムラインを整理しましょう。」
サムとジェシーに何がいつ起きたのかを問い、作成された時系列を次のように確認します。「確認します。昨朝8時00分、ジェシーがサムに支援を求めるメールを送信。8時20分、サムは多忙につき対応不可と返信。16時00分、サムが本日中締切の業務の進捗をジェシーに確認。ジェシーが返信したのは今朝9時55分で、作業時間の延長が必要との内容でした。これは10時00分の進捗確認ミーティングのわずか5分前であり、そのミーティングで二人が激しい口論に発展した。このタイムラインに誤りはありませんか?」
サムとジェシーがこの事実関係に同意したら、次に5回の「なぜ」の手法を用います。「ジェシー、なぜサムに支援要請のメールを送ったのですか?」ジェシーは答えます。「前日にサムが手伝うと言ってくれたからです。」そこでサムに尋ねます。「サム、なぜジェシーに支援を申し出たのですか?」サムは「期限に遅れるのではないかと危惧したからです」と答えます。「なぜジェシーが遅れると危惧したのですか?」「前回のタスクの納期が遅れていたからです。」「ジェシー、前回のタスクの納期が遅れたのはなぜですか?」「仕様が確定しておらず、作業に着手できなかったからです。」「なぜ仕様が確定していなかったのですか?」「ブレイクからの情報待ちでしたが、ブレイクは2週間不在にしており、現在も遅延業務のリカバリー中だからです。」
ここで、次のように状況を整理できます。「つまり、今朝10時00分の進捗確認ミーティングで二人が口論に至った根本原因は、ブレイクが休暇により業務のリカバリーに追われ、ジェシーへの仕様共有が遅れていたことにあると考えられます。この認識で相違ありませんか?」
サムとジェシーの合意を得たら、ストア派的アプローチによって解決策を導きます。「ブレイクの休暇取得時期は私たちにはコントロールできませんし、彼の業務を代行できない以上、リカバリーを直接手助けすることも困難です。しかし、私からブレイクのマネージャーに連絡を入れ、復軌に向けたサポートが可能か相談します。ジェシー、ブレイクの作業が遅れればあなたの作業も遅れることが今回明確になりました。ただし、そうした事態が生じた際には即座にサムへ共有し、次の進捗ミーティングを待たずに両者で納期の見直しを行ってください。ジェシー、仕様が期日通りに届かない場合は、その旨をサムへメールで即時連絡すると約束できますか?」ジェシーが承諾したら、サムに向き直ります。「サム、必要な仕様が未着である旨の連絡をジェシーから受け取った場合、納期期待値の再設定に協力できますか?」サムも承諾したら、明確に問いかけます。「お二人は、この問題が解決したと認識しますか?」双方が合意すれば、対立は解消されます。
あらゆる対立の解決において、事後検証、5回の「なぜ」による根本原因分析、ストア派的推論のすべてを用いる必要はありません。しかしどのアプローチを採用する場合でも、その目的は責任の追及ではなく、いつ何が起きたのか、なぜ起きたのか、そして今後どのように対処するのかを明らかにすることにあると共通認識を持つ必要があります。