アノマリー

5.1.3初級7分で読了

相手のボディランゲージを読み取ろうとするときは、その身体動作が変化する瞬間、すなわち通常のベースライン(基準)状態から逸脱する瞬間に細心の注意を払わなければならない。これらの逸脱は通常の状態からのズレであるため、ボディランゲージにおけるアノマリー(異変・逸脱)と捉えることができる。

静止画からボディランゲージを読み取ろうとしても、多くを把握することはできない。その姿勢をとるに至った背景や状況が分からないからである。心から喜んで飛び跳ねているのかもしれないし、単にカメラに向かってポーズを取るよう指示されただけかもしれない。

しかし、対面で会話している場合、ボディランゲージの変化は往々にして相手の心情に何らかの変化が生じたことを示している。具体的にどのような感情を抱いていたのか、あるいはどう変化したのかまでは即座に分からなくとも、外的刺激(尖った棒で突かれるなど)がない限り、ボディランゲージの変化は何かが相手に影響を与えたことを意味する。

ベースラインの状態からの変化を検知するには、まず相手の通常のボディランゲージがどのようなものであるか、基準(ベースライン)を確立しなければならない。そのためには、相手がリラックスして心地よく過ごしているニュートラルな状態を観察する必要がある。ただし、相手をこのニュートラルな状態に導くには、多少の忍耐が求められる。

面接を例に考えてみよう。着席した途端に矢継ぎ早に質問を浴びせられた場合、質問ごとに相手のボディランゲージが変わったとしても、何がベースラインなのか判断がつかない。その結果、各質問に対する反応を解釈することが極めて困難になる。たとえば、難問を投げかけられた面接対象者が落ち着きを失ったり、過敏になったり、緊張した様子を見せたりした場合、質問が難しかったからかもしれないし、面接前にコーヒーを飲みすぎただけかもしれない。

質問攻めにするのではなく、面接の冒頭で時間をかけ、相手が落ち着き、リラックスし、安心できる状態を作ることが賢明である。面接が相手にとっていかにストレスの多い場であるかを考えれば、落ち着かせるまでに最大30分を要することもあるだろう。だが、これには2つの利点がある。第1に、穏やかでニュートラルな状態におけるベースラインのボディランゲージを観察できる点。第2に、人はリラックスしているときのほうが記憶力や想起能力が格段に高まるため、相手の真の知識レベルをより正確に把握できる点である。

ストレスを感じている相手をリラックスさせるには、相手にとってポジティブな話題について会話を振ってみるとよい。天気、映画、音楽、家族、ペット、趣味、関心事など、明らかに試問や尋問の類ではない話題を選ぶと効果的である。

時間が経つにつれて身体の緊張が解け、相手はこちらのボディランゲージをミラーリング(模倣)し始めることがある。もしあなたが椅子の背もたれに寄りかかり、足を組み、手を相手から見える位置に置いているなら、相手もリラックスするにつれて同じように背もたれに寄りかかり、足を組み、手を視界に入る位置に置くようになるかもしれない。

人間は他人の手が見えていると安心感を覚えやすい傾向がある。そのため、相手をリラックスさせようとする際は、テーブルの下に手を隠したりポケットに入れたりしないこと。

誰かが相手のボディランゲージをミラーリングしているとき、それは波長が合い、共通認識を持ち、相手と同じように思考しているという合図である。ミラーリングは無意識に生じるものだが、これに気づくと、自分が身体を伸ばした後に相手も伸びをする様子や、深呼吸をした後に相手も深呼吸をする様子を観察して、興味深く感じることもあるだろう。副次的な効果として、相手に深呼吸をミラーリングさせることは、相手をさらに落ち着かせる効果をもたらす。

ニュートラルでリラックスした状態を観察できたら、そのボディランゲージを把握・記憶しておく。普段は足を組んで両手を膝の上で組んでいるだろうか。それとも脚を開いて背もたれに寄りかかり、片手を背もたれに回してもう一方の手をアームレストに置いているだろうか。思考するときは遠くを見つめるタイプか、それとも目を閉じて集中するタイプだろうか。

ストレスのないニュートラルな環境で自然に行っている動作こそが、その人のベースラインのボディランゲージである。ここから会話を進めたり質問を投げかけたりする中で、どんなに小さな変化であってもボディランゲージの変化を注意深く観察する。さらに、何かを発言・質問した直後の瞬間のボディランゲージには特に注視すべきである。瞬きほどの短い一瞬に現れる初動のボディランゲージは、本人の意識的なコントロールを超えた反応であるため、最も重要な情報となる傾向がある。

人間の脳の大脳辺縁系は、何らかの脅威を感知した瞬間に身体の制御を奪い、本能的な「フリーズ(静止)」「フライト(逃走)」「ファイト(闘争)」の反応を引き起こす。不快感や脅威を覚えたとき、大脳辺縁系は気づかれないようにその場で静止(フリーズ)するよう指令を出す。それでも気づかれた場合は、危険から逃げる(フライト)よう促す。逃げられない場合、大脳辺縁系は戦う(ファイト)準備を整えさせる。

フリーズ・フライト・ファイト反応は身体のどこか一部だけに生じるものではない。たとえ一瞬でほとんど目に見えないような反応であっても、全身が連動して反応する。あなたが何かを言ったり質問したりした際、相手が急に動きを止めたり、逃げ出す準備をしているように見えたり、あるいは戦闘態勢に入ったように見えたりした場合――たとえ1秒後に平静を取り戻したとしても――何かが相手に不快感や脅威を与えたことが分かる。こちらの意図に応じて、身を引くか、さらに踏み込むかを判断できる。もし踏み込むのであれば、こちらの発言が相手のボディランゲージの変化を引き起こすたびに、細心の注意を払う必要がある。

実のところ、特定の話題や質問が相手のボディランゲージの変化の引き金になったことを特定できたとしても、相手が何を考えているかまでは依然として分からない。我々にできるのは、発言に対して相手がどのような影響を受けたかを観察し、ボディランゲージを変化させた要因について根拠ある推測を立てることだけである。